【感想】苦悩と孤独と向き合う「キッチン」吉本ばなな

吉本ばななさんの存在は以前から知っていましたが、初めて作品を読みました。

最後にある、”そののちのこと”という章で「キッチン」についてこんな風に語っています。

私の実感していた「感受性の強さからくる苦悩と孤独にはほとんど耐えがたいくらいにきつい側面がある。それでも生きてさえいれば人生はよどみなくすすんでいき、きっとそれはさほど悪いことではないに違いない。もしも感じやすくても、それをうまく生かしておもしろおかしく生きていくのは不可能ではない。そのためには甘えをなくし、傲慢さを自覚して、冷静さを身につけた方がいい。多少の工夫で人は自分の思うように生きることができるに違いない」という信念を、日々苦しく切ない思いをしていることでいつしか乾燥してしまって、外部からのうるおいを求めている、そんな心を持つ人に届けたい。

苦悩や孤独を感じることが多い人にとってはすごく共感できる点が多い作品ではないでしょうか。

こんな人にオススメ!!

  • 最近周りで不幸が起こった
  • 孤独や苦悩を感じることがある
  • 感受性が非常に豊か

「キッチン」のあらすじ

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う–祖母の死、突然の奇妙な同居、不自然であり、自然な日常を、まっすぐな感覚で受けとめ、人が死ぬことそして生きることを、世界が不思議な調和にみちていることを、淋しさと優しさの交錯の中で、あなたに語りかけ、国境も時もこえて読みつがれるロング·ベストセラ、待望の定本決定版。 (吉本ばなな〉のすべてはここから始まった。

「キッチン」は三部構成担っています。一部と二部は繋がっており、題名にもなっているキッチンがキーワードになっています。

三部はムーンライト・シャドウという題名でそれまでとは異なっています。

しかし、どちらとも周りの大切な人が死んでいき、孤独を感じ苦悩していく様子は共通です。

決して明るい話ではないですね。

「キッチン」の中で印象的だった言葉

一部二部の主人公のみかげは料理人のアシスタントをしています。そこのスクールに料理を習いに来ている人を見て、根本的に自分とは異なることを悟った時の心情が綴られています。

彼女たちは幸せを生きている。どんなに学んでもその幸せの域を出ないように教育されている。たぶん、あたたかな両親に。そして本当に楽しいことを、知りはしない。どちらがいいのかなんて、人は選べない。その人はその人を生きるようにできている。幸福とは,自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ。私も、そういうのいいな、と思う。エプロンをして花のように笑い,料理を習い、精一杯悩んだり迷ったりしながら恋をして嫁いでゆく。そういうの、すてきだな、と思う。美しくてやさしい。ことにひどく疲れていたり、ふきでものができたり、淋しい夜に電話をかけまくっても友人がみんな出払っていたりする時、生まれも育ちもなにもかも、私は自分の人生を嫌悪する。すべてを後悔してしまう。

この文章の中で特に印象的だったのは幸福についての部分でした。

幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ。 

本当の孤独を知っている人だからこその言葉だと思います。

自分は本当の意味での孤独になったことはないですが、家族に囲まれているのも友達がいるのも、全てはひとりと感じないことで、幸福を求めているからかもしれません。

設定が複雑なため詳細な説明は省きますが、世界と自分の関係を見つめ直したシーンで発せられたこの言葉も印象的でした。

世界は別に私のためにあるわけじゃない。だから、いやなことがめぐってくる率は決して、変わんない。自分では決められない。だから他のことはきっぱりと、むちゃくちゃ明るくしたほうがいい、って。それで女になって今はこのとおりよ。

その頃の私には、その言葉の意図はつかめたけれど、ぴんとこなくて”楽しさって、そういうことなのかな”と思ったのをおぼえている。でも、今は、吐きそうなくらいわかる。なぜ、人はこんなにも選べないのか。虫ケラのように負けまくっても、ごはんを作って食べて眠る。愛する人はみんな死んでゆく。それでも生きてゆかなくてはいけない。

どれだけ苦しくても、生きなければならない苦悩と覚悟が伝わってきました。

「キッチン」まとめ

個人的にはもっと吉本ばななさんの他の作品を読みたい!と思わせてくれる本でした。

なぜかというとこの本は孤独や苦悩、死などを痛烈に意識しながら同時に生と幸福について考えることができるからです。

僕、基本的にネガティブなのでこの基本的に悩んでいる主人公の気持ちがすごく好きでした。

他の本よりもなんだか着飾ってなくて素直な感じが評価が高い理由です。

「読みやすさ」  ★★★★☆ ありのままの感情で気難しくない。
「役立ち度」   ★★★★☆ 孤独を考えさせられました。
「また読みたい度」★★★★★ もう一度ゆっくり読みたい!
「コスパ」    ★★★☆☆ 格安の400円!
「深いい度」   ★★★★★ 深いい話でした。
「総合評価」   ★★★★☆ 星よっつ!!!!